日常生活で気をつけること

リンパ浮腫の患者さんに、日常生活で気をつけてほしいことがあります。逆に、気にしなくてもよいこともあります。日頃のケアに役立ててください。リンパ浮腫以外のむくみの方は、注意点が違いますので、主治医にご相談ください。

気をつけること

体重 :体重が増えると、リンパ浮腫が悪化します。太りぎみの方は、体重を2~3kg減らすだけでもむくみが改善してきます。リンパ浮腫の発症が心配な方も、体重のコントロールは重要です。体重が増えないよう、日頃から食生活に気をつけ、運動習慣をつけましょう。(詳しくはコチラ

 

・正座:足のリンパ浮腫の方は、正座をするとリンパの流れが悪くなり、むくみが悪化します。できるだけ避けましょう。

 

・立ちっぱなし、座りっぱなし:足のリンパ浮腫の方は、立ちっぱなしや座りっぱなしになっているとむくみが悪化することがあります。また、ストッキングが食い込んで痛みが出ることもありますので、定期的に動くよう心がけてください。

 

・長風呂:リンパ浮腫の患部を温めすぎると、リンパに負担がかかり、むくみが悪化することがあります。長風呂は避けましょう。入浴後に患部が赤い場合は、ぬれタオルなどで少し冷やすといいでしょう。

 

・温泉旅行:長風呂しやすいだけでなく、旅行中はいつもより少し無理をしたり、圧迫療法が不十分になったりすることが多く、むくみの悪化につながることがあります。主治医と相談の上、長風呂はしない、疲れすぎる前に休憩をとるなど、工夫しましょう。温泉旅行が禁止というわけではなく、日頃のケアが十分にできていれば、問題なく旅行を楽しめます。

 

・サウナ:血流がよくなると、リンパに負担がかかることがあります。むくみの状態をよく確認し、サウナの後にむくみが悪化するようなら、サウナは避けた方がよいでしょう。

 

・こたつ:足のリンパ浮腫の場合、こたつで温めすぎるとむくみが悪化したり、蜂窩織炎の原因になったりすることがあります。

 ※腕のリンパ浮腫の場合は、腕をこたつに入れなければ問題ありません。

 

・水虫:足のリンパ浮腫の方は、水虫が原因で蜂窩織炎になることがあります。皮膚科で治療しましょう。


気にしなくてよいこと

・重いものをもつ:ひと昔前まで、リンパ浮腫になったら重いものを持ってはいけないと言われていましたが、実は足のリンパ浮腫の方は、重いものを持っても全く問題ありません。

 ※腕のリンパ浮腫の方は、リンパ浮腫の側に肩かけカバンを持ったり、ハンドバッグを肘にかけたりするのは避けましょう。

 

・運動:ひと昔前は、リンパ浮腫になると運動を避けて安静にすることが大事とされていましたが、リンパ浮腫の圧迫療法をしっかり行った状態であれば、運動制限はありません。むしろ、圧迫した状態で運動することは、リンパ浮腫の改善につながるという医学的なデータが多数あります。(詳しくはコチラ

 ※圧迫療法が十分でない場合は、運動でむくみが悪化することがあります。まずは主治医やセラピストにご相談ください。

 

・プール:水泳は、リンパ浮腫の改善に効果的です。膝や腰が痛い場合も、水中歩行であれば痛みなく運動ができます。

 ※リンパ浮腫の部分に傷があったり、リンパ液が漏れてきたりしている場合は水泳は控えてください。

 ※プールからあがったら、シャワーでしっかり全身を流しましょう。

 

・ヨガ:ヨガは、全身のリンパの流れがよくなりますので、リンパ浮腫の改善に効果的です。

 ※ホットヨガは、むくみの悪化につながる可能性があります。体質にもよりますので、主治医と相談しながら行ってください。

 

・バラの栽培、庭仕事:「リンパ浮腫の人はバラに触ってはいけない」と言われていたことがありますが、本当は問題ありません。

 ※腕のリンパ浮腫の方は、バラのとげで手をケガしないように気をつけてください。

 ※足のリンパ浮腫の方は、庭仕事でしゃがんだ姿勢が続くと、むくみが悪化することがあります。こまめに立ち上がる、長時間のしゃがみ姿勢は避けるなど、心がけてみてください。

 

・水分をとる:水を飲むこととリンパ浮腫は関係ありませんので、水分摂取の制限はありません。

 

・食事:食べ物の制限はありません。また、残念ながら、「これを食べるとリンパ浮腫がよくなる」という食べ物も、今のところありません。

 ※食べ過ぎで体重が増えると、リンパ浮腫が悪化してしまいますので、注意して下さい。


JR東京総合病院 リンパ外科 原尚子

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